アメリカ小売業界の2025年閉鎖トレンドとマーケターが取るべき戦略
2025年は“閉店の年”:背景と規模感
2024年、米国では7,325店舗が閉鎖されましたが、2025年にはその倍以上、約15,000店舗が閉鎖される見込みです。
これはCoresight Researchのデータが示す通り、前年の334%増となる急激な増加です。
閉鎖の主な要因には、以下の4点が挙げられます:
- インフレや高い運営コストの圧迫
- オンライン購入への消費者シフト
- 高金利や賃料高騰による固定費負担
- 事業不振や資金難による破産・再編
閉店が進む代表的チェーン店リスト(2025年)
以下は、2025年に閉鎖が予定されている代表的な米国小売店です。
Joann Fabrics
約800店舗すべてを閉鎖 (チャプター11申請による)
Party City
米国内の全店舗が閉鎖 (2025年2月にすべて閉鎖)
Walgreens(ウォルグリーン)
2025年に500店舗閉鎖 (2027年末までに合計1,200店舗削減計画)
Macy’s(メイシーズ)
2025年に66店舗、2026年までに合計150店舗を閉鎖予定
Big Lots
リストラクチャリングの一環として、最大500店舗閉鎖予定
Family Dollar
2025年に370店舗を追加で閉鎖予定(2024年には600店舗を既に閉鎖済)
Kohl’s
27店舗を2025年までに閉鎖予定
JCPenney
8店舗を閉鎖予定、一部は売却も検討中
Advance Auto Parts
727店舗を2025年半ばまでに閉鎖予定
Rite Aid
チャプター11申請中、最大1,200店舗を閉鎖・売却予定
CVS Health
2025年に追加で270店舗閉鎖予定
Forever 21
全米350店舗すべてを閉鎖済(再オープン予定はなし)
閉店の裏には“オンラインへの移行”と“体験型店舗の台頭”実店舗の閉鎖が相次ぐ一方で、小売マーケターにとっての新たなチャンスも生まれています。
オンライン販売への移行と差別化:
実店舗が閉鎖されると、その地域のオンライン売上が最大11.5%減少(ホームグッズ:32.2%、デパート系:26.1%)という「ハロ―効果」の喪失も見られます。
国民全体のeコマース比率も急速に上昇しており、将来的にはさらなる閉店圧力がかかると予想されています。
体験型店舗・小型フォーマットへの回帰:
実店舗は依然として76%以上の小売売上を担う重要なチャネルです。機能を fulfillment やブランド体験に特化し、DTCブランドや小型実店舗での接点強化を図る動きが強まっています。
若い世代(Z世代)は店舗でのブランド体験を重視しており、リアルな体験を提供することが集客の鍵となります。
小売マーケター向け「今、取るべき5つのアクション」
1. データ活用で地域戦略を再設計
実店舗閉鎖地域の行動データを分析し、オンラインキャンペーンの重点エリアを見極める (Fulfillment とブランド認知の強化)
2. オムニチャネル強化
実店舗とECを統合した「Clicks and Bricks」戦略を構築し、両チャネルでの体験価値を高める
3. 小型&体験型店舗展開
費用対効果を考え、フロント部分のみの小型店舗やポップアップを設置し、ブランドのリアル接点を維持
4. 閉店地域への先行進出
競合が離脱する地域には早期参入で市場シェアを確保。割安でのリース交渉も可能に 5. オンライン体験の強化
デジタル広告・SNS・口コミ活用により、閉店エリアのブランド接点を維持・拡張する